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国連人権委員会自由権規約審査:進展ない女性差別解消に強い批判

2008/10/20

 10月15・16日の2日間にわたって、国連人権委員会で自由権規約の実施状況に関する日本審査が10年ぶりに行われました。
 審査の様子については、国連がくわしい報告を出していますが、(→国連プレスリリースはこちらから)10年前の審査からほとんど何の進展もないまま同じ質疑が繰り返される状況に、委員たちはそろってフラストレーションを表明し、「まるでデジャビュ体験」「いったいこのプロセスをどう考えているのか。時間の無駄だし、失礼」「日本政府は規約に関して基本的な思い違いがあるのではないか」など、日本政府に対し、かなり辛らつな批判がなされました。
 全体的には代用監獄、死刑、取調べの可視化などの問題に議論が集中しましたが、ジェンダー関連では、民法における差別的規定、経済的活動および意思決定における男女間格差、ジェンダーに基づく暴力への対応、日本軍性奴隷制問題、性的マイノリティへの差別、人身売買など、幅広い問題について取り上げられました。
●民法における差別的規定については、女性だけに課される再婚禁止期間、男女で異なる婚姻可能年齢、婚外子差別など、10年前にも指摘されたことを変えるのがなぜそんなに難しいのか、差別的な出生届の書式変更、相続差別について、いつ変更するのかと委員から質問がありましたが、政府の回答は、「家族の形に関わる問題なので、国民の幅広い意見を聞きつつ考えてまいりたい」というものでした。なお政府は、男女で異なる婚姻年齢について、事前質問への書面回答では「男性と女性では、身体的精神的な成熟度が異なる」と、それ自体、非常に差別的な回答をしています。委員からは、死刑と同様、国内に反対意見があることを差別的制度存続の理由にしてはならないとの発言がありました。
●経済活動における男女間格差については、賃金や管理職登用における男女格差にほとんど改善がないこと、パートと正規の賃金格差が指摘され、政府の回答には具体的な情報がないが、長時間労働と性別役割分業観の是正、育児支援のために、どんな具体的プログラムや教育をしているのかと質問がありました。
●意思決定プロセスへの女性参加については、2020年までにすべての領域で30%という目標について、あまりに慎ましすぎる目標ではないか、もっと実効性ある具体的対策が必要、との発言が複数の委員からありました。
●レイプなど性暴力については、警察による二次被害を防ぐためのジェンダートレーニングやモニタリングのしくみ、女性警官の採用やホットラインなどの具体的数について質問が出されました。またDV被害者への対応強化に関して、加害者への量刑、法的支援や医療、住居、自立支援、外国籍DV被害者への特別在留許可などについて、プログラムがどのくらい効果を挙げたのか、具体的な報告が求められました。
●日本軍「慰安婦」問題については、2日目に議論されることになっていたにもかかわらず、第1日目から2人の委員があえてこの問題について発言し、高い関心をうかがわせました。
●その他、性的指向を理由とする差別が明確に禁止されておらず、公共住宅やDV施策に関しても同性間カップルが対象となっていないこと、人身売買について、具体的な実情に関する情報の欠如や処罰の軽さ、児童ポルノの所持を処罰する法律の欠如について質問がありました。
最終見解は今月末に公表される予定です。

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