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裁判員制度:最高検が被害者の身近な人は不選任の方針しめす

2009/08/26

性暴力事件の裁判員選任について、最高検察庁が、被害者のプライバシー保護のため、被害者と生活圏の重なる候補者については、理由を示さない不選任請求を行う方針を示しました。

裁判員の選任手続きでは、くじ引きで選ばれた候補者のうち、被害者の親族や友人など、不公平な裁判を行う可能性のあると判断されたひとについては、不選任とすることになっています。性暴力事件の場合は、被害者のプライバシーを保護するため、被害者の名前や住所などの個人特定情報を候補者に開示せず、候補者の側から思い当たる人をあげてもらったり、被害者に裁判員候補者の名簿を開示することによって、知り合いを排除する方法をとるという方針が、これまで最高裁から示されていました。

しかし、たとえ被害者の直接の知り合いではなくても、同じ生活圏の人に被害が知られることによって、二次被害が発生する可能性があります。このため私たちは、被害者と関わりのある地域の住民は裁判員候補から除外するよう求めてきましたが、最高裁は、くじ引きによる無作為抽出が法で定められていることから、実施困難との見解を示していました。今回の最高検の方針は、検察側と被告・弁護側双方に4人まで認められている、理由を示さない不選任請求を活用することにより、懸念に応えようとするものです。

報道によれば、検察では、被害者の生活圏や人間関係などにかかわる「一定の範囲」を設定したうえで、裁判長が行う候補者への質問により、「一定の範囲」にあたる候補者があれば、不選任請求を行うということです。最高検ではまた、被害者に裁判員候補者の名簿を開示し、知人がいるかどうかを確認してもらう方法もとるように、全国の検察に通知しているとのことです。

私たちが5月にキャンペーンを開始したとき、もっとも強く懸念していた問題のひとつが、この「地域の人に被害を知られてしまう可能性がある」という問題でした。最高裁との交渉では難しいと言われていましたが、最高検がとりうる手段を検討してくださったことを歓迎したいと思います。もちろん、これですべての懸念が解消されたわけではありませんが、被害者の懸念を真摯に受け止めて尽力されている関係者の方々に感謝します。

【報道】裁判員:性犯罪、身近な人は不選任 被害者に配慮 最高検(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090826k0000m040151000c.html

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