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メキシコ:米州人権裁判所が軍の性暴力で国に有罪判決

2010/10/21

 2002年に2人の先住民族女性が兵士によるレイプを受けた2つの事件について、米州人権裁判所は10月1日、女性の安全を保護し公正な裁判を保障する責任を怠ったとして、メキシコ政府の国家責任を認める判決を下しました。
 2つの事件はゲレーロ州で2002年の2月と3月に起きたもので、先住民族の女性2人が兵士による集団強姦の被害にあいました。メキシコでは、麻薬取引や反政府ゲリラ対策を理由に農村部に展開している軍や警察による人権侵害が数多く報告されていますが、犯罪を犯した兵士はほとんど処罰を受けていません。2人の被害者はメキシコ国内の裁判所で救済を得られなかったため、人権団体の支援を
得て、南北アメリカ大陸の地域人権機構である米州人権委員会に訴えていました。同委員会は2009年に、米州人権裁判所で審理を行うことを決定しました。
 米州人権裁判所は判決で、先住民族女性が暴力や拷問から自由な生活を送ることができるよう保障することを怠り、法的保護や公正な裁判を受ける権利を保障しなかったとして、メキシコ政府の責任を認定し、民間人による事件調査のほか、被害女性および家族へ慰謝料を支払うこと、謝罪文をスペイン語および2人の母語で公表すること、事件が起きた地域に女性のための保健センターを開設すること、また、犯罪を犯した軍人が民間法廷で裁かれるよう、軍の法規を見直すよう求めました。
 この判決以前から、メキシコ軍による超法規的殺害、強制失踪、拷問、レイプなど多数の人権侵害が報告されており、米州人権裁判所の勧告も出ていますが、遵守のための政策変更はほとんど進展していません。カルデロン大統領は10月19日に、拷問、レイプ、強制失踪などの重大犯罪についてのみ、加害兵士を民間法廷で裁くとする改正案を議会に提示しましたが、人権団体は、不十分な点が多いと批判しています。

【報道】
●Guerrero: Inter-American Court condemns Mexican State for rapes suffered by two Me’phaa indigenous women
●Native Women Raped by Soldiers Find Justice at Regional Court
●A Proposal to Address Rights Abuse in Mexico

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