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神戸地裁で不当判決:同居女性の娘に対する強かんに無罪

2011/02/24

 神戸地裁は2月22日、内縁関係にあった女性の娘に対する強かん罪で起訴された男性(42)について、「抵抗することが著しく困難だったとは言えない」として、全面無罪とする判決を下しました。
 虐待被害者の心理、支配関係の中で起きる性暴力に関する理解を著しく欠き、女性の人権を否定する、許し難い不当判決です。

 神戸地検は、被告が、2005年11月から2007年2月にかけて、当時高校生だった少女に対し、自宅で4回にわたり性的暴行を加えたとして、懲役13年を求刑していました。一方、弁護側は、性行為を行ったことは認めたものの「脅迫はなく、強姦罪は成立しない」と無罪を主張していました。
 奥田哲也裁判長は判決理由で、暴行を受けたとされる時期に、長女と被告が連れだって買い物に行っていたことや、長女と被告が上半身裸で写っている写真が残されていることをもって、「長女が身体的接触を受け入れているようにも思われる」と述べ、被告に極度の恐怖心を抱いていたという長女の供述について「信用できない」と否定し、「抵抗することが著しく困難だったとは言えない」としました。

刑法強姦罪は、「暴行または脅迫を用いて」女性に性行為を行う犯罪とされています。しかし継続的な支配関係の中では、被害者は「抵抗」する力を奪われているために、加害者は明確な暴行・脅迫を用いる必要がなく、結果として、女性の性的自由が侵害されているにもかかわらず、強かんにあたらないとされてしまうことがしばしばあります。
被害者が「抵抗」したかどうか、加害者が明白な「暴行・脅迫」を用いたかどうかだけに注目し、被害者の実質的な性的自由の侵害を問題としない現行刑法では、被害者の人権は守られません。根幹的な法制度の見直しが必要です。

【報道】
強姦で起訴の男性無罪「抵抗困難と言えず」(共同)内妻の高校生・長女へ強姦に無罪判決「供述信用できぬ」(産経)
【関連情報】 性暴力と法制度の問題点ページへ

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