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フランス:カンヌで「ブルキニ」禁止令

2016/08/19

 2016年7月28日、フランス南部の都市、カンヌで海水浴場や遊泳上での「ブルキニ(Burkini)」着用を禁じる政令が出された。ブルキニとは肌の露出を避けるため全身を覆うデザインの水着で、主にイスラム教徒の女性用に販売されている。
 政令では「いかにもイスラム教徒であることを誇示するような方法で着用した場合」が禁止の対象とされており、違反とみなされれば、別の水着に着替えるか退場を迫られるという。7月28日から8月31日までの一時的な政令だが、報道によれば、この政令によってすでに10人以上の女性が逮捕された。
 ダヴィッド・リスナール市長は「現在のフランスでは宗教的な確執がテロの対象になりかねない」とし、この政令はニースで起きたトラック突入事件後の非常事態宣言延長を受けた対応であるとしている。
 フランスのマニュエル・バルス首相は地元紙に対し、ブルキニは「挑発的」で治安を乱す恐れがあると話したという。また、ローランス・ロシニョル家族・子ども・女性権利大臣もブルキニ着用について否定的な発言をしている。
 フランスでは現在、カンヌを含めた5つの都市がこの政令を出しており、報道によると、さらに3つの都市も導入を検討している。
 現在、この政令はムスリムに対する差別であるとして国内外から抗議の声が上がっている。ムスリムの人権擁護団体は「フランスの政治家は、イスラムであることをスティグマ化するためにこのブルキニ論争を利用している」と批判した。
 フランスでは2010年に「ブルカ禁止法」が成立した。現在でもブルカをめぐる論争が続くなか、再びムスリム女性が身に着けるものに対する規制が行われている。

【報道】
●NY Times (8/17) – Fighting for the ‘Soul of France,’ More Towns Ban a Bathing Suit: The Burkini ●Reuters (8/17) – Police in Cannes stop Muslim women wearing banned burkinis

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