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アイルランド:中絶禁止法の廃止決定

2018/05/28

2018年5月26日、アイルランドで人口妊娠中絶を禁止する憲法条項の廃止を問う国民投票が行われ、賛成66.4%、反対33.6%で、中絶が合法化されることが決まった。

アイルランドでは、1983年の憲法改正で中絶を禁止する条項が記載され、その後、35年間、中絶は厳しく規制されてきた。

2012年、インド出身のサビータ・ハラパナバル(Savita Halappanavar)さんが、妊娠17週目に背部の痛みを感じて運び込まれた病院で、流産の危険があると中絶処置をするよう求めたが、病院側は認めず、その結果、胎児は心配停止となり、1週間後に、ハラパナバルさんが敗血症で死亡するという事件が起きた。

2013年には、母体の生命に危険がある場合と、女性に自殺願望がみられる場合にのみ中絶が認められる法律が議会によって可決されている。

しかし、2014年には、レイプによって妊娠した18歳の女性が中絶処置を求めたが認められず、帝王切開により出産させられるという事件が起きている。当時、専門家は女性が自殺を志願していると判断していたが、認められなかった。

これまで、多くの女性たちが自国で認められない中絶処置を受けるためにイギリスへ渡っていることも明らかになっている。たくさんの女性たちに苦しみを強いてきた中絶禁止法の廃止を求めて、活動家たちは長年にわたり、さまざまなキャンペーンに取り組んできた。多くの政治家や司祭に無視され続けたが、それでも諦めず、ダブリンでは中絶合法化を訴える大規模なデモが繰り返し行われている。

26日午後に投票結果が確認されると、ダブリン城の外に集まっていた人々は歴史的な瞬間を喜び合った。サビータ・ハラパナバルさんの名前も繰り返しコールされたという。

自らがセクシュアルマイノリティであることを公表し、2015年に世界で初となった国民投票による同性婚の合法化でも、当時、保険省大臣として大きな役割を果たしたレオ・バラッカー(Leo Varadkar)首相は「アイルランドが影の下から光の中に踏み出した日だ」と述べて、この結果を歓迎している。

【報道】
INDEPENDENT(5/27)”Irish abortion referendum: 66.4% win for Repeal marks ‘the day Ireland stepped out from under the last of our shadows’, Leo Varadkar says”
THE IRISH TIMES(5/28)Miriam Lord: It took 35 years to build this stunning result

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