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アルゼンチン:中絶合法化を求める大規模デモ

2018/07/06

2018年6月28日、アルゼンチン各地で、上院議会に対し中絶を合法化する法案の可決を求めるデモが行われた。妊娠14週までの中絶を認めるこの法案は、同年6月14日に129対125という僅差で下院議会を通過している。今回のデモは副大統領であり上院議長のガブリエラ・ミケティ(Gabriela Michetti)氏が、下院では法案について4つの委員会を設置すると述べたことがきっかけとなって行われた。

デモの参加者は、メケッティ副大統領が委員会を4つ設置することで採決の延期を目論んでいると批判し、2つまでの設置にすることを求めていた。結果、翌日29日に法案反対派が率いる予算国税委員会(Budget and Internal Revenue Commission)を除いた3つの委員会に送られることが決まっている。しかし、下院議会より上院議会の方が保守的な傾向が強いため、可決は困難との見方も多い。6月28日時点では、上院議員72人のうち、27人が法案を支持しているが、29人は反対を表明、16人は依然不明という状況だ。

下院議会での可決の際には、中絶合法化支持を表す緑色のスカーフやバンダナを身に付けた何万人もの人々が、ブエノスアイレスの国会前に集まった。議会では23時間にも及ぶ討論が行われたが、その間、集まった人々はずっと法案支持を訴え続けた。

このような大規模なデモの背景には「Ni Una Menos (ひとりも欠けさせない)」運動の拡大がある。2015年、14歳のキアラ・パエス(Chiara Paez)さんが、付き合っていた男性に殺害されるという事件が起きた。このことがきっかけとなり、フェミサイド(女性であることを理由にした殺害)に対する大きな抗議運動が広がったのだ。その後、ジェンダーに基づく暴力事件をきっかけに、Ni Una Menos運動は、南米や南欧のさまざなな地域に広がっている。中絶の権利を含むフェミニスト・イシューが広く議論されているのだ。

現在、アルゼンチンでは、強姦または生命を脅かす健康リスクがある場合を除き中絶は違法だ。合法的な中絶の要件を満たしたとしても、伝統的カトリック国家では根強い偏見が存在し、多くの医師が中絶を拒否する。高額な費用を用意できれば、中絶薬の購入や、プロ・チョイス派の民間医師の手術などにアクセスすることができる。しかし、経済的に困難な人たちは危険な中絶や薬に頼らざるをえない。さらに、違法な中絶によって合併症などを引き起こした場合でも、公立病院は違法流産を警察に通報できてしまうため、診察を受けることが難しくなっている。

マウリシオ・マクリ(Mauricio Macri)大統領は、中絶合法化を支持しないが、拒否権も行使しないとしている。しかし、議員の多くは法案に明確に反対または慎重な姿勢だ。下院議会では投票に入る直前まで立場を明らかにしない議員が多かった。上院議会での投票は2018年8月8日に予定されている。

【報道】

 

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