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CEDAW選択議定書の批准で日本をジェンダー平等社会に――CEDAW委員パトリシア・シュルツさん講演集会開催

2018/10/05
パトリシア・シュルツさん(中央)

パトリシア・シュルツさん(中央)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018年10月2日、衆議院第2議員会館にて、国連女性差別撤廃委員会のパトリシア・シュルツ委員を迎えて、女性差別撤廃条約選択議定書の重要性を訴える集会(共催:日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク、国際女性の地位協会、女性人権機構)が開催された。

日本は、あらゆる形態の女性差別撤廃を基本理念とする国連女性差別撤廃条約(CEDAW)を1985年に批准している。締約国に対し差別撤廃のための措置をとることを求めている同条約には、履行状況を審査する委員会が設置されており、この委員会で委員を務めているのがパトリシア・シュルツさんだ。

シュルツさんはスイス出身の弁護士で、2011年、CEDAW委員に選出され、現在2期目。選択議定書に関わる個人通報作業部会長を務めている。

CEDAW選択議定書は1999年に国連総会で採択されており、条約批准国189か国のうち、109か国が批准している(2018年8月現在)。しかし、日本は未批准のままだ。

選択議定書には「個人通報」と「調査」の2つの手続きがある。個人通報はCEDAWが保障する権利が侵害された場合、一定の手続きを経て委員会に直接通報し、審査をしてもらうことができる制度だ。調査とは、委員会が「重大または組織的な」女性の権利侵害があるという「信頼できる情報」を受け取った際に、対象となる国の了解を得たうえで、調査を行うことができる制度だ。現在、選択議定書を批准していない日本では、どちらの制度も使うことができない。

集会のスピーチでシュルツさんは「条約自体の批准は必要不可欠なものであるが、この条約によって手に入れた権利が使えないとか侵害されるということがあるならば、選択議定書はその権利を行使することを可能にする」と話し、CEDAWで定められた女性の権利を守るためには選択議定書の批准が重要であることを強調した。

これまで委員会は36か国に住む女性から131件の個人通報を受けている。シュルツさんは、調査制度について、メキシコにおける女性の拉致やレイプそして殺害に関する事例を紹介し、個人通報制度については、ジェンダーに基づく暴力に関する通報が多いことを報告。選択議定書を批准していない日本について「委員会に対して『真剣に検討している』と繰り返している日本だが、批准に向けて行動しようという政治的意志の欠如を残念に思う」と話した。

最後に「選択議定書を批准するというのは、その国が法の支配を尊重しているかどうかに関わることだ。日本にもぜひ女性差別を撤廃する効果的なメカニズムに入るという国際的な運動に参加してほしい」としてスピーチを終えた。

林陽子さん

林陽子さん

集会には、シュルツさんと同じCEDAW委員である林陽子さんも参加した。

林さんは「今年は、国連総会で世界人権宣言が採択されて70周年になる。この70年間の国際的な大きな進歩は、人権条約そして個人通報制度ができたことだ。現在、国連の主要な人権条約9つのすべてに個人通報制度が備わっている。しかし、日本政府はこのうち1つにも入っていない」とコメント。個人通報制度について「CEDAWではカナダとデンマークからの申し立てが多い。しかし、この2つの国が世界で最も人権侵害が多い国だと思う人はいないだろう。申し立てが多いというのは、成熟した市民社会があり、司法に対するアクセスが保障されており、情報がいきわたっているという証明。そして、国際的な民主主義の社会というのは法の支配で結びついているということは重要なことだ」とし、日本における選択議定書の早期批准の重要性を訴えた。

集会参加者は約150人。14人の国会議員も参加し、公明党、立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社会民主党、沖縄の風会派から、それぞれシュルツさんのスピーチを受けての挨拶があった。「女性の声を政治に反映したい」「非常に勉強になった」「批准に向けて超党派で取り組みたい」という批准に向けた前向きな発言が多く、国会における今後の動きに注目したい。

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