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危機におけるケアと繋がり:COVID-19に立ち向かうためのフェミニスト戦略

2020/04/15

COVID-19とジェンダー 翻訳記事

フェミニスト団体MADREによる声明

 

COVID-19パンデミックは、悲しみや恐怖、欲求不満に対応しつつ、私たちが命を救うために素早く行動することを求めています。同時に、私たちが社会の変化についての知識を活用すること、および、この危機への緊急対応が将来への種まきとなっていることを認識するよう求めています。

MADREのパートナー団体の女性たちが、これまで行ってきたことに今こそ取り掛かるべきです。つまり、コミュニティにおける重要なニーズを満たすために邁進し、利益よりも人々と地球を重視する実践と政策のために団結し、持続可能な経済へと正しく移行させ、お互いを守り、災害から再建するために繋がりと協力を受け入れるべきなのです。

 

危機と可能性を持つ時代

この瞬間は、私たちが個人的に、そして集団的に永久に変化する分岐点となります。以前にもこのような瞬間に直面したことがあります。例としては、9.11、ハリケーン・カトリーナ、ドナルド・トランプの選挙などが挙げられます。これらは、グローバルな危機の国内的な現れでした。そして、この現れは、終わることのない戦争、災害、資本主義、そしてアメリカ式権威主義を通して、不平等を深めるために悪用されました。しかし、これらの脅威は同時に、イラク戦争からの撤退、環境正義や人種的正義の拡大や繋がり、2016年の選挙でのフェミニストや親民主主義組織の台頭など、社会公正を前進させる新しい可能性を開くことにもなりました。

歴史が加速するこのような時において、漸進的な社会変化の機会は脆弱なものです。しかし、それでも機会はまさしく機会であり、その機会が私達の前に今、存在するのです。COVID-19パンデミックによる社会的、経済的、そして政治的な衝撃が組み合わさって、私たちの一生において最大の「きっかけとなる瞬間」が生まれているのです。私たちは皆、新しい日が来ると感じています。周囲の影響を特定し、吸収するのに苦労している間にも、私たちはより良い変化を生み出すための機会を増やす必要があるのです。

世界経済の破綻から生じる苦しみ、および権威主義者による権力奪取や軍事化した対応、外国人嫌悪者や原理主義者による危機についての反動的なナラティブに備える際、米国や世界から生まれた、パンデミックへの社会公正の対応は、更に重要なものとなります。

MADREは、これらの危険を人々が理解し耐えられるよう活動しています。まず私たちは、(a)個人主義に基づく「生存者」モードに後退するか、あるいは(b)全能の国家からの保護と引き換えに自分たちの権利を喪失させるかという、誤った二択を拒否します。代わりに、私たちが求める代替策を生む可能性のある第三の道を作ります。戦争や災害に直面する草の根の女性グループと数十年に渡り協同したことで、私たちは、復興や満足できる生活状況はやがて訪れると知っています。しかし、それは内向きになったり、力を放棄することによってではなく、危機の際に最も脆弱な人々のニーズを優先する、集団的な対応によりもたらされるのです。

 

今私たちを導く原則は、これから常に私たちと共に生きる

 

相互依存

これまで以上に、このウイルスは深い真実を暴きました。それは、私たちは皆、繋がっているということです。種族や国境、アイデンティティを超えたCOVID-19の蔓延は、私たちの基本的な繋がりを痛切に感じさせ、協力的でコーディネートされた、国際的な対応の必要性を強調しました。この真実は、人々を「分子化した個人」と考え、個人間には何の責任や関係がないとする右翼の見方とは全く対照的です。この危機をゼロサムゲームと見ることで、トランプは、切望した国境取締を正当化しました。それでもなお、武漢、テヘラン、カラカス、そしてニューヨークに住む人々の幸せが相互依存していることをより明らかにしました。森林破壊、動物を強制的に人間と近づけること、このウイルスの蔓延はすべて同じ教訓を与えます。つまり、地球の健康を害することは、私たち自身の健康を損なうことと同じということです。

 

相互依存の実践

MADREは分離というイデオロギーに反発し、繋がりの力を受け入れます。活気のある、ローカルな女性活動家のネットワーク・ハブとして、支援する緊急事態へのレスポンスから得た学びを発信します。こうすることによって私たちは、草の根の女性たちのイノベーションがシェアされて、必要とされるところでそれらが適用および繰り返されることを可能にします。

 

グローバル正義

私たちは、COVID-19危機が何もないところから発生したわけではないことを知っています。その原因は、数十年にわたる、ネオリベラリズムによる水、衛生、住宅、ヘルス・サービスへの攻撃および、生態系と動物生息地の破壊、国際協力と人権にあります。グローバル正義のアプローチは、過去に犯した害を回避し修復しながら、差し迫ったニーズを満たさなければなりません。

 

グローバル正義の実践

MADREは、緊急のヘルケアと衛生サービスを提供し、例えば、米国による長期にわたる爆撃から復興しているイラクにおいて、なぜインフラが弱いか、あるいは欠けているかについて批判的な視点を詳述します。同時に、政府に対して、社会的および経済的権利を満たす責任を果たすよう働きかけます。

私たちは、森林破壊および、水や薬などの生命を維持するのに必要な資源の商品化の停止を求めるパートナー団体の声を広めます。また、これらの活動がコミュニティ・レベルそして国際政策における脅威に立ち向かえるようサポートします。歴史的に周辺化されてきたコミュニティが直面する、命に関わる情報へのアクセス・ギャップを認識し、ローカル言語によるコミュニケーションや信頼できるコミュニティ・リーダーの優先順位に従って、そのニーズに応えます。

 

インターセクショナリティ

ウイルスは私たちすべてを繋げる一方、人々が受けるインパクトは平等ではありません。すでに組織的な差別を受けている人々は、COVID-19関連の緊急サポートから移民を除外する試みなどから見られるように、不平等な政策対応によりさらなる危機にさらされます。すべてのコミュニティの、特に階層やジェンダー、人種、性的志向、能力、国籍や他のアイデンティティにより差別の対象となる人々のニーズに合わせた政策が必要なのです。

これらのコミュニティは、レジリエンスを高めパンデミックに立ち向かうための重要な知識を持っています。例えば、公衆衛生の警告は私たちに、呼吸器疾患や他の慢性的な病気を持つ人々に対するCOVID-19の危険性を提示しましたが、その生きた経験を持つ人々の知識を前面に押し出す必要があります。私たちは常に真実であったものを提示しなければいけません。つまり障碍者の正義は、障碍を持つ人々のものだけでなく、私たちの集団として幸福にとって重要であり、それは障害を持つ人々の権利とリーダーシップを認識することにかかっているということです。

 

インターセクショナリティの実践

MADREは、正義と戦略の観点から、パンデミックを終わらせるための、参加型で包括的な、権利に基づく資源動員を支持します。民主主義の規範とプロセスを強化するアプローチは、権威主義的な政府が民主主義を標的にし、人々の孤立と恐怖を利用し権力を高めようとする際に重要です。

 

根本倫理

これは、私たちの最良の部分を輝かすことのできる瞬間です。自分自身の面倒を見ながら、私たちを必要とする人々に手を差し伸べることができるのです。私たちが今まさに必要とする、ユニバーサル・ヘルス・ケアやチャイルド・ケア、有給病気休暇、経済的および環境的持続可能性など、進歩的な政策を推進することができます。

これは世界中で通常、女性と少女が責任を負うケア・ワークを可視化することを意味します。このような仕事は危機下において更に増え、女性と少女がウイルスにさらされるリスクを高めます。

 

根本倫理の実践

MADREの緊急対応は、コミュニティ・レベルにおいて予防やヘルス・サービスを提供するだけではなく、漸進的な政策がケア倫理に基づくよう、人権アドボカシーや社会運動も行います。

 

MADREは、難民キャンプや戦争の被害にあっている地域、あるいは水の少ない地域など、最前線にあるコミュニティにおいてパンデミックの対応を行うローカル女性リーダーたちをサポートしています。彼女らは、コミュニティの特定ニーズを深く理解し、相互扶助を自らの根本に掲げた、信頼のおけるアクティビストです。彼女らはサポートと情報の源として知られているので、公衆衛生に関するガイダンスを提供する際、人々は彼女たちに耳を傾けます。それ以上に、病気になったり、助けが必要なコミュニティ・メンバーにすぐに対応できるよう、彼女らは常に警戒を怠りません。

 

イエメン

長年の戦争、飢餓、そして米国に支持されたサウジアラビアによる空爆と援助封鎖により、イエメンの保健制度と脆弱な水インフラは破壊されてきました。コロナウイルスが広がる今、清潔な飲用水さえないような状況で、感染を予防する手洗いのための水はありません。パートナー団体であるFood4Humanityとともに、MADREは人々が飲料給水所へのアクセスと、衛生用品の配布を行う地元の取り組みを支援しています。衛生用品の配布の対象は、監禁されている人々も含まれます。私たちは、コミュニティ・オーガーナイザーや医療従事者が緊急支援を行えるよう、私たちは、国連事務総長が主張したとおり即時停戦を求めます。

 

ニカラグア

ニカラグアでは、十分なヘルスケアサービスや健康に関する情報へのアクセスが先住民にはありません。加えて、彼らの水源は、鉱業や製材といった多国籍企業により汚染されています。Wangki Tangniにあるパートナー団体は、COVID-19により加えられた新たな脅威に対応するため、健康教育や母子保健、食料安全の分野でコミュニティの強化に努めています。

MADREはパートナー団体のラジオ局をサポートすることで、過疎地にある115のコミュニティに手を伸ばし、どのように安全を担保するかについての実用的な情報を提供しています。また、地方の脆弱な病院がCOVID-19により過負荷になったとき、妊産婦と乳幼児の死亡率が急上昇しないよう、地元の助産師に物資を提供しました。さらに、MADREがサポートする種子保全と有機農業イニシアチブを通じ、パートナー団体は、食品サプライチェーンの混乱が広範囲に広がる飢餓に繋がらないようしています。

 

コンゴ民主共和国

WHOがコンゴ民主共和国の最後のエボラ出血熱患者が退院したことを確認した数日後、COVID-19の最初の症例が見つかりました。女性活動家ネットワークであるSOFEPADIに所属する私たちのパートナー団体は、エボラ出血熱に立ち向かうために不可欠でしたが、彼女たちは、その勝ち得た知恵を新たな危険と戦うために実践する準備ができています。

MADREのサポートにより、SOFEPADIは周辺化された人々、特に避難民に焦点を当てた啓発キャンペーンを始めました。パートナー団体は、自分たち、そしてコミュニティ用に消毒剤や医療用品を配備するとともに、難民キャンプ、学校、その他の主要な公共スペースにいる人々が、必要な予防ツールにアクセスできるようにしています。

さらに、コンゴ民主共和国および世界中にいるローカル・パートナー団体は、緊張やトラウマが増加するにつれ、また人々の移動が制限されることと、サービスへのアクセスがサバイバーにとって難しくなることから、ジェンダーに基づく暴力の爆発的な増加の可能性を認識しています。SOFEPADIは、ストレスマネージメントや家族へのケアについて話ができる男性を含めた、オンライン上で暴力防止キャンペーンを企画しています。

 

ローカルな女性活動家のもとに、緊急資金やツール、テクノロジー、トレーニングを提供することで、彼女たちのコミュニティのリーダーとしての信頼と地位を高めることができます。パートナー団体の一部の仕事が中断する可能性があるなら、柔軟な資金提供を行うことにより、地域レベルで組織される重要なフェミニストたちがこの危機に耐えることができます。MADREは直面する新しい状況に適応しながら、使命に集中し続けることで、現在必要なプログラムを具体化し、前進させます。これを行う術はすでに知っています。実際、MADREは常にこのように活動してきたのです。私たちは、パートナーと協力して、最も危険にさらされている人々を保護します。私たちは、人々が不当な政策を理解し抵抗するのを手助けします。私たちは、私たちが住みたい世界を構築する方法で、この危機に対応するのです。

(翻訳:小宮理奈)

原文はこちらから。

 

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