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バーチャル世界を通して政治的に組織化するフェミニストの経験

2020/05/01

COVID-19とジェンダー 翻訳記事

以下は、フェミニスト団体AWIDが出した分析記事の全訳です。

 

2020年4月8日

 

過去2週間にわたり、世界中で起きているCOVID-19のパンデミックの影響で沢山の労働者がバーチャルで仕事をすることを求められている。

多くの活動家たちが不協和音を指摘している。障害者の権利向上のための活動家たちは長年にわたり、自宅で働く権利を求めているが、多くの場合それは不可能だと言われてきた。免疫力が低下している人やその他ヘルスケアの必要性がある人にとって、バーチャルで仕事をすることが正当な選択肢であることを示すのに、なぜ世界的な感染症が起こる必要があったのだろうか?グローバル資本に適合した今、在宅勤務は突如として、いくつかの企業にとって魅力的な選択肢となった。多くの業種の労働者がバーチャルで仕事をするという贅沢を享受しておらず、さらに多くの労働者が失業や雇用不安に直面しているか、健康上の懸念を持ちながらも第一線の労働者として働き続けていることを認識することが重要である。

APC、AWID、FRIDA等の多くのフェミニスト組織にとって、それぞれの場所で活動し、住んでいる場所も異なるスタッフを雇用することは、意識的な政治的選択であった。分散して活動するというこの方針により、これらの組織は、多様なバックグラウンドを持つ活動家を雇用することが可能になり、その地域組織の豊かさをグローバルに活動する組織にもたらすことができる。また、これらの組織は、例えばグローバル・ノースに移動することなく、グローバル・サウスのスタッフとの作業を中心に進めることができる。

AWIDのMargarita Salasコミュニケーションマネージャーは次のように述べている。

「コスタリカのフェミニストでLGBT活動家として、私が行っているアドボカシー活動と組織化活動を継続し、さらに同時に国際組織の一員であり続けることは非常に重要である。実際に世界中の国々に住んでいるスタッフがいることで、私たちはプログラム上の問題を異なる現実の観点から理解することができる。」

FRIDAのLedys Sanjuan Mejiaアドボカシー、コミュニケーションおよび技術マネージャーによると、スタッフがバーチャルに働くことを許可する選択は政治的な要素をもつ。「バーチャル上で働くことができることによって、匿名で働くことが可能になる」。この事実は、活動内容によって攻撃等の標的にされる可能性のある活動家にとっては特に重要である。

しかし、バーチャル上で働くことを美化しないことが重要だ。

さまざまなフェミニスト運動や社会正義運動を構築し、協力していくためには、お互いに学び合い、共同で計画し、戦略を立て、フェミニストの現実を共有するために、物理的に一緒に時間を過ごす必要がある。これは、私たちの多くがバーチャルに行っている組織化作業にとって重要な相互関係である。バーチャルで仕事ができることも大きな特権だ。情報格差(デジタル・ディバイド)は、世界中の多くのコミュニティが十分なサービスを受けておらず、場合によってはインターネットに接続できず、接続の問題を抱えていることを意味する。世界中のスタッフやパートナーと作業している場合には、この問題を認識することと、その回避策を有しておくことが重要だ。

例えば、どのようにオンラインの通話に参加するかは、それぞれの人が選択肢を持つべきである。通話に参加する際に音声のみで接続し、より多くの帯域幅を消費するビデオを使用しないことを選択する人もいるかもしれない。また、リモートで作業する組織がデジタルのセキュリティと安全性を優先することも非常に重要である。多くのフェミニスト組織は、Frontline Defendersによる 「COVID-19の時代に自宅をオフィスとして使用する際の物理的、感情的、そしてデジタル上の保護」 に関する資料を含め、この分野で有用な知識を生み出している。

APC、AWID、FRIDAは最近、この特定の瞬間を認識し、これからの数ヶ月間、遠隔での組織化にますます多くの運動や活動が依存するようになる可能性を踏まえて、最近、AWIDメンバーや我々の様々なパートナーと対話し、我々がバーチャルの世界で政治的に組織化する方法について学んだことについて話し合いをした。

FRIDAが指摘するように、 「幸福はフェミニスト組織化の中心にあるべきだ」。

これは個人や集団のケアが抵抗の政治的戦略であることを認識することを意味する。

具体的には、職員の権利の尊重を意味する。仕事がやりがいと刺激の適切な組み合わせであることを確実にすることだ。APCのErika Smith氏が述べているように、一旦適切なスタッフを配置したら、彼らを信頼して仕事を任せることが重要である。また、Margarita氏は前述の会話の中で、個々のスタッフとの、また、チーム内での定期的なチェックインを実施することの重要性について語った。チェックインとは、人々(に加えて彼らの飼っている猫、犬、植物、子供、その他彼らにとって重要な生物)の行動をチェックすることでもある。

「ツールを変更できない場合は、使い方を工夫する」とErika Smith氏は言う。

自分の使用しているツールを誰が開発しているのか、そしてその目的を知ることが重要である。例えば、GoogleやSkypeのような多くの企業は、政府とどのような種類の情報を共有するかについて合意している。これは、国家による活動家に対する抑圧と報復への懸念を示している。多くの活動家や活動家の組織は、使用するプラットフォームについて慎重に選択しており、「仮想的に組織化する」 ツールキットでは、私たちが使用するツールやプラットフォームのいくつかを長所と短所を合わせてリストアップしている。

資源の問題は、常に資金不足に陥っているフェミニスト運動にとって重要な問題である。Ledys氏が指摘するように、フェミニストのインフラに資金を提供する必要がある。私たちの原則に沿ったフェミニストツールとプラットフォームを共同で作成し、リソースを提供することが重要だ。ドナーはまた、これらのフェミニスト技術を利用する上で重要な役割を果たし、彼らの技術とデータインフラを、彼らが共に働くコミュニティから調達する必要がある。

AWIDのFaye Macheke財務および運用担当ディレクターは、スタッフにハードウェア(デバイス、コンピュータなど)と、スタッフが行う作業に必要なインターネット接続ができる環境を提供することの重要性を指摘しています。また、世界のどこにいても、平等な労働に対して平等に賃金を支払い、傷病休暇を含む十分な給付をすべての人に提供することも重要である。これらは、組織内の職員の公平性と公平性を確保するためにAWIDが実施した方針の一部である。

Felogene Amumo氏は、バーチャル世界で政治的に組織化することについての会話の始めに、COVID-19の反響が、主流となっている資本主義と新自由主義の失敗を物語っていると指摘した。この危機は、不十分な保険医療制度、特に脆弱な層に対する社会保護の格差、労働の権利(又はその欠如)、企業の影響力と権力、女性の無報酬のケア労働など、すべての制度の欠陥にスポットライトを当てている。また、フェミニスト経済を育成することは、この瞬間に必要なだけでなく、新しい世界を構想するプロセスを再構築するためにも必要であることを明らかにしている。

翻訳:羽賀美樹

原文はこちらから
Feminist experiences of organising politically across virtual worlds

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COVID-19とジェンダー

Japanese translation done by the Asia-Japan’s Women’s Resource Center. This article was originally published by the Association for Women’s Rights in Development (AWID)
Feminist experiences of organising politically across virtual worlds

 

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