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長崎ストーカー殺人:防げなかった警察相談

2012/01/12

長崎県西海市で12月16日、男性が、元交際相手の女性A子さんの母親と祖母を殺害した事件で、警察は以前から何度もA子さんに対するDV・ストーカー被害について相談を受けていたにもかかわらず、最悪の事態を防ぐことができなかった経緯が明らかになってきました。

A子さんは千葉県習志野市で容疑者男性と同居している時から、激しい暴力を振るわれていました。A子さんが容疑者男性によって監禁状態におかれていることを知った父親は、2011年10月、長崎県警を通じて習志野署に相談。A子さんは救出され、西海市の実家に戻りました。習志野署は男性を傷害容疑で任意同行しましたが、「A子さんには近づかない」との誓約書が得られたため、逮捕はしませんでした。
しかし、その後も容疑者男性がA子さんや知人らに「居場所を教えなければ殺す」と脅迫状を送るなどしたため、父親は12月6日に被害届を提出しようとしましたが、習志野署は「提出は1週間待って欲しい」と伝えました。父親とA子さんは、12月12日になって被害届を提出し、習志野署は14日に傷害容疑で捜査を開始しましたが、男性は三重県の実家で暴れた後に姿を消し、2日後に犯行に及びました。

毎日新聞のまとめによれば、A子さんの父親は、10月29日以降、長崎・千葉・三重の県警に計5回相談しており、男性の両親も、男性の暴力について計3回警察に相談していたということです。
事件後の声明で、A子さんの父親は、被害申告のために自費で千葉まで出向かなければならなかったこと、被害届の受理に時間がかかったこと、三重県桑名署に男性の実家の巡回を依頼したにもかかわらず連絡がなかったことなど、警察対応の問題を指摘し、「法律を変えてほしい。家族だけではストーカー加害者から被害者を守れない」と訴えました。
また、事件の2日前に男性が実家から姿を消したことについて、桑名署は千葉県習志野署には連絡を入れたものの、長崎県警には連絡がなかったことも明らかになりました。
今後、警察対応について十分な検証の報告が待たれるとともに、被害者の家族や知人に対する保護対策の強化など、DV法・ストーカー法の見直しにつなげていく必要があります。

【報道】
現場発:長崎・西海の殺人事件 8度SOS、命守れず 県警間連携に不備(毎日新聞 12/24)長崎ストーカー殺人:「家族だけでは守れない」遺族訴え(毎日新聞 12/27)長崎ストーカー殺人:悲憤の遺族手記に、千葉県警「経緯を検証」/遺族への説明も明言(毎日新聞 12/29)

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