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日韓請求権協定と植民地責任についての声明に賛同しました

2012/07/13

アジア女性資料センターは、「日韓会談文書・全面公開を求める会」が出した以下の声明に賛同しました。(賛同受付は締め切っています)

 日韓会談文書・全面公開を求める会 第2声明

 戦争および植民地支配に対する日本の責任問題は日韓請求権協定で解決していません

 韓国では、2011年8月30日の憲法裁判所決定に続き、2012年5月24日に大法院判決が下されたことで、日本の歴史的責任の問題が、「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約」(日韓基本条約)および諸協定によっても、未だに解決されていないことが示されました。

 1965年に日韓基本条約および諸協定が締結されてから、今年で47年になります。しかし、「人道に対する罪」を含む、戦争および植民 地支配に対する日本の歴史的責任の問題が未だに解決していない現状に鑑みて、次のように声明します。

(1)「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」(以下、日韓請求権協定)で、日本の歴 史的責任の問題は解決していません。

 日韓請求権交渉の基礎となった対日平和条約第4条は、分離地域の財産処理に関する請求権(債権を含む)が対象であり、戦争や植民地支配 に起因する責任や賠償について定めた規定ではありません。日韓請求権交渉でも日本側は当初、在朝日本人財産に対する請求権を主張しました が、同条b項により否定されました。韓国側が請求した個人請求権も未払い金、供託金、労働時の負傷や死亡に対する補償金などでした。

 そもそも日韓基本条約および諸協定には、「日中共同声明」や「日朝平壌宣言」に見られる歴史認識が欠けており、日本が朝鮮を植民地支配したことについて、謝罪や反省をする文言は一切含まれていません。さらに、日韓国交正常化以後の裁判や国会答弁において、日本政府は個人 の権利消滅について曖昧な見解を示し続けています。

(2)朝鮮人被害者は現在も救済されていません。

 日韓国交正常化以後、韓国において財産処理に関する補償措置が実施されました。しかし、朴正煕政権期の措置は財産補償と死亡者に対する 弔慰金に限定された、きわめて不十分なものでした。盧武鉉政権期の過去清算事業の一環として、朝鮮人被害者に一定の追加的補償金が支払わ れましたが、それはあくまで生活保障のための支援金であり、日本側が償うべき戦争や植民地支配による被害に対する賠償ないし補償でないことは言うまでもありません。

 日本政府は在日朝鮮人および台湾人元軍人・軍属への一時金拠出や日本軍「慰安婦」被害者への「アジア女性基金」設立などの対応を余儀なくされました。
 しかし、これらはいずれも日本政府の法的責任を認める措置ではなかったため、多くの被害者に受け入れられませんでした。そして、現在も日本政府は「痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ち」を表明した「村山談話」を引き継ぐとしながらも、依然として請 求権問題が日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決済みである」として、「村山談話」に見合った政策を打ち出していません。

(3)今こそ日本の朝鮮支配に対する歴史的責任を果たさねばなりません。

 日本政府は日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決した」とする見解を見直し、「村山談話」に即して、朝鮮植民地支配の不法かつ不当性を認定しなければなりません。そして、その認識を基礎として、日本政府は率先して朝鮮人被害者を救済することにより、被害者の尊厳を回復 させなければなりません。被害者の人権回復は日本政府が戦争および植民地支配に対する歴史的責任を果たすことによって、はじめて実現するのです。

 朝鮮人被害者は大韓民国に居住する人々ばかりではありません。日本政府は日朝国交正常化交渉において、朝鮮民主主義人民共和国に居住する人々に対する歴史的責任を果たさなければなりません。
そして日本政府は、在日朝鮮人の権利状況を改善することにも積極的に取り組むことで、平和の実現に寄与すべきです。「高校無償化」制度における朝鮮学校差別を無くすとともに、在日朝鮮人の民族的権利を保障しなければなりません。

 日本国憲法前文には、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」と謳っています。私たちはこの精神に即して、日韓請求権協定によって解決されていない諸問題に真摯に取り組み、戦争および植民地支配に対する歴史的責任を果たすことを、日本政府に要望します。

2012年6月26日 
     
日韓会談文書・全面公開公開を求める会 共同代表 吉澤文寿

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