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日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワークの抗議文に団体賛同しました。

2012/09/07

アジア女性資料センターは、「日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク」による橋下発言への抗議文に賛同しました。インターネット上から賛同署名ができるようになっています。9月15日までです。

http://www.jca.apc.org/ianfu_ketsugi/kougi_hashimoto_2012-09.html

以下抗議文
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大阪市長 橋下徹 様

日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク

橋下市長による日本軍「慰安婦」問題の事実歪曲発言に抗議し、発言の撤回と被害者への謝罪を求めます

 橋下徹大阪市長は8月21日および24日の記者会見において、日本軍「慰安婦」問題について発言しましたが、その内容は歴史的事実に反するばかりか、女性の人権をないがしろにする重大な問題を含んでおり、とうてい看過できません。直ちに発言を撤回し、日本軍「慰安婦」被害者に対して謝罪するよう求めます。
 報道によれば、橋下市長は竹島問題をめぐる日韓関係の悪化の背景に「慰安婦」問題があるとし、「この問題に関する韓国との見解の違いは強制連行の事実なのか、『慰安婦』の存在自体の問題なのか」と持論を展開しました。そして、「強制連行が問題なら、軍に暴行脅迫を受けて連れてこられた証拠はない」「証拠があるなら(韓国に)出してもらいたい」と述べています。また、「『慰安婦』の存在そのものを問題にするのなら、戦争状態において『慰安婦』制度というのは、今から考えると倫理的に問題な制度なのか分からないけれども、当時の時代背景において、どうだったのかを議論しなければ」と発言しています。

■日本政府の公式立場である「河野談話」を否定する根拠を示してください!
 被害者を再び傷つける発言を撤回し、被害者に謝罪してください!

 日本軍「慰安婦」問題についての日本政府の公式立場は、1993年の「河野官房長官談話」にもとづく「軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに荷担していたこともあった」というものです。「河野談話」は、当時の内閣官房外政審議室の調査結果に根拠を置いています。警察庁・防衛庁・法務省・外務省などの各省庁および、国立公文書館や国会図書館、米国国立公文書館などを調査対象とし、さらに被害者や元軍人らからの聞き取りに加え、歴史研究家などへも調査を行ったものです。従って、この談話は安倍元首相を含む歴代首相が踏襲し、長年日本政府の公式立場となってきました。橋下市長はこれについて疑念を呈したばかりか、具体的な根拠を示すことなく、「河野談話は見直すべきだ」「単に(「慰安婦」だった人の)証言があればいいというわけではない。その証言に信憑性があるかをあいまいにしたまま出した河野談話は最悪だ」とまで言い捨てています。
 また、強制の証拠は韓国に求めるまでもありません。各国の被害者たちは日本政府の謝罪と賠償を求めて、日本の裁判所に10件の「慰安婦」訴訟を行なっています。すべて敗訴しましたが、8件で被害事実が認定されています。2004年12月の中国人「慰安婦」訴訟で、東京高裁は「日本軍構成員によって、駐屯地近くに住む中国人女性(少女も含む)を強制的に拉致・連行して強かんし、監禁状態にして連日強かんを繰り返す行為、いわゆる『慰安婦』状態にする事件があった」と認定しました。就労詐欺などによって「慰安所」に連れて行かれ、暴力をもって強かんされた被害者たちも、「強制」です。橋下市長の安易に政府の公的立場を否定し、被害者の証言や判決を無視する態度はとうてい弁護士資格を有する人の態度とは思えません。
 「強制連行の証拠はない」という主張は、日本軍「慰安婦」の存在を否定したい人々の常套句です。その背景には、自ら募集に応じた「商行為」だったと言って被害者を貶め、日本政府の責任を回避しようという意図があります。市長はそうした発言を鵜呑みにせず、自ら日本軍「慰安婦」問題の歴史と事実にしっかりと目を向け、勉強してください。

■戦時下であっても、女性が性奴隷とされることを容認するような発言は女性差別の最たるものです!

 さらに、橋下市長は、「慰安婦」制度があったのは戦時下で、軍隊が行ったことをもって「日本だけか」と正当化するような発言をしています。「慰安婦」制度は紛れもなく当時の国際法に違反しており、日本の刑法にも違反する犯罪行為で、戦時下であっても決して許されることではありません。
 1991年以降、アジア各国で「慰安婦」被害者が名のり出られ証言されましたが、日本政府は一貫して法的に解決済みという立場で、被害者の訴えを退けてきました。これに対し、国際社会からも解決を求める声があがっています。国連の人権委員会、社会権規約委員会、自由権委員会、女性差別撤廃委員会など様々な機関が日本政府に被害者への公的謝罪と賠償を求めています。2007年にはアメリカ下院議会を皮切りにオランダ、カナダ、欧州議会で「慰安婦」問題の解決を求める決議があがっています。いずれも背景にあるのは「日本軍『慰安婦』制度は女性に対する最大の人権侵害であり、戦時性暴力の象徴だ」という考え方であり、この問題の解決は世界の人々にとっても重要な関心事であるということです。
 日本を含むアジア各国の多数の女性たちが、過酷な状況で自分の意に反して日本軍兵士の性のはけ口とされたことを、「戦時下だったから、倫理的に問題がない」とは、耳を疑う発言です。
 言い換えれば、橋下市長の女性に対する人権意識はその程度のものだと言うことができ、そんな人を大阪市長にしているとは恥ずかしい限りです。

■大阪市会で採択された「意見書」に矛盾する発言に説明を求めます!

 こうした国際社会の声に押され、国内でも市民らによる地方自治体での「慰安婦」意見書を求める運動が拡がりました。大阪市においては2010年10月に、「日本軍慰安婦問題の早期解決に関する意見書」が採択され、「河野談話に矛盾しないよう、慰安婦問題の真相究明を行い、被害者の尊厳回復とともに、今なお存在する女性への暴力・人権侵害の解決に向け、誠実に対応されるよう強く要望する」との意見書を政府に提出しています。このたびの橋下市長の発言は、これに真っ向から反するもので、大阪市長として矛盾した対応であり、絶対容認できません。

 以上、一刻も早い発言の撤回と謝罪を求めます。

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