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第2回UPR:女性の権利促進について勧告

2012/11/20

日本の人権状況に関する第2回普遍的定期的審査(UPR)が10月31日に国連人権理事会で行われました。死刑廃止や国内人権機関の設置、マイノリティの権利保障、日本軍「慰安婦」問題の解決等の人権課題を79か国が指摘し、差別の撤廃と人権保障に向けていっそうの努力をおこなうよう、日本政府に対する勧告がなされました。

UPRは2008年に導入された新しい人権評価のメカニズムで、他の国連人権条約機関審査が専門家によって行われるのに対し、他国の政府が4年ごとに評価する仕組みが特徴です。

今回の審査でとりあげられた問題には、以下のものが含まれます:
未批准の国連人権条約の批准、条約批准にかかわる留保の撤回、人権条約選択議定書の批准、パリ原則に沿った国内人権機関の設置、包括的な差別禁止法の制定および「差別」定義の明確化、死刑の廃止、移住者や難民の権利、民族マイノリティに対する差別撤廃、子どもの権利保護(移住者・マイノリティの子ども、婚外子、児童虐待、児童ポルノ・児童買春など)、ジェンダー平等の促進、人身取引対策強化、障害者に対する差別、「慰安婦」問題、代用監獄問題など。

女性の権利・ジェンダー平等に関しては、以下のような勧告が出されました。
・民法の差別的条項の改正
・婚外子差別の撤廃
・ジェンダーにもとづく偏見・差別の撤廃
・第3次男女共同参画基本計画の推進強化
・DV、性暴力など女性に対する暴力の撤廃、被害者支援
・マイノリティ女性の権利保障
・女性の社会進出、意思決定への参加促進
・人身取引対策の強化、被害者への支援強化

日本軍「慰安婦」問題については、オランダ、韓国、東ティモール、ベラルーシ、中国、コスタリカ、朝鮮民主主義人民共和国の7カ国が発言しました。この問題は中国や韓国との二国間問題ではなく、すでに国際社会における普遍的な人権課題になっていることを日本政府はよく認識すべきです。

報告書は11月2日に採択されました。日本政府は各国からの勧告を受け入れるかどうかについて、2月から3月にかけて行われる人権理事会で表明する予定です。
2008年の第1回審査後も、日本政府は死刑廃止や「慰安婦」問題に関する勧告のフォローアップを行っておらず、市民社会との間においても建設的対話をもとうとしませんでした。建設的対話を通して、人権改善に向けた政府の自主的な取り組みを促進するというUPRの趣旨に沿って、日本政府が今度こそすべての勧告をフォローアップすることを約束し、市民社会との協議のもとに具体的取り組みを始めるよう求めます。

【参考】
●国連人権理事会日本審査のページ ●IMADRプレスリリース ●日弁連プレスリリース

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