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朝鮮学校「高校無償化」除外の違法性うったえ同時提訴

2013/01/30

「高校無償化」を朝鮮学校に適用しないことの違法性を問う訴訟が、1月24日、大阪と名古屋で同時提訴されました。

愛知朝鮮中高級学校の在校生・卒業生らは、差別的な適用除外のために就学支援金が支給されなかったことによる精神的苦痛について、国家賠償請求を起こしました。
また、大阪の学校法人大阪朝鮮学園は、2010年11月に「無償化」適用を申請しましたが、国が定めた基準を満たしているにもかかわらず、2年以上たっても申請が処理されていないことについて、法にもとづく適用指定を求めています。

2010年4月に導入された「高校無償化」政策は、すべての子どもたちに均等な教育機会を保障することを目的として、公・私立高校や外国人学校、専門学校も対象にしていましたが、日本人拉致問題を理由に、朝鮮学校だけが適用を見送られました。
政府はその後、「外交とは関係なく、あくまで教育上の観点から客観的に審査する」との方針を示し、朝鮮学校も他の学校と同様、一定の基準を満たせば「無償化」を適用するとしていたにもかかわらず、2010年11月、基準とは何の関係もない外交問題を理由に審査を凍結。
2011年8月に菅首相(当時)が審査再開を指示したものの、文科省は申請を処理しておらず、政府が自ら定めたルールを無視して朝鮮学校を差別除外している状態が、すでに3年近くも続いています。
さらに自民党政権は、省令改定により朝鮮学校に対する排除を合法化する方針を示しています。
今回の提訴は、こうした政治状況の下で、法による公正な審査を求めるものです。

大阪朝鮮学園は記者会見で、「民族マイノリティーの教育は国際法上も保障された権利であり、朝鮮学校に対する除外は差別を助長する違法なもの」と訴えました。平等な教育権の保障、法の下の平等の原則を守り、行政による不当な民族差別を是正する裁判所の判断に期待をつなぎたいと思います。

【報道】
●時事(2013/1/24)授業料無償化「除外は不平等」=朝鮮学校などが提訴―大阪、名古屋 ●毎日(2013/1/24)朝鮮学校:高校授業料無償化法の対象外 国を提訴

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