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在日米軍の性犯罪:不処罰の実態が明らかに

2014/02/13

 
 在日米軍で性犯罪で告訴された米兵のうち、軍法会議で訴追され、禁錮刑を受けて収監された兵士はわずかで、大部分は除隊や罰金などの処分だけで済まされていたことが、AP通信が情報公開請求で得た米軍資料で判明しました。在日米軍の性犯罪に対する処分の甘さが浮き彫りとなっています。

 性犯罪に関与した疑いで処分されたことが確認された在日米軍の兵士244人のうち、禁錮刑を受けて収監された兵士は約3分の1程度にとどまり、残りは除隊や罰金などの処分だけで済まされていました。うち約30件では懲戒文書が送られただけという処分の甘さです。
 
米国防総省の統計によると、米軍全体では兵士による性犯罪が軍事法廷で審理される割合は09年の42%から12年には68%まで増加しています。しかし在日米海軍では逆に、軍事法廷を避ける動きが強まっています。06~09年では性犯罪は軍事法廷で裁くケースが多数でしたが、10~12年には裁判手続きを経ずに除隊などの形で済ます件数が、軍事法廷に持ち込まれる件数の3倍に上りました。また2005~13年前半までの8年間に、在日米軍の海軍と海兵隊の兵士が告訴された性犯罪の容疑事件は473件ありましたが、うち軍事法廷で審理されたのは約24.5%にあたる116件で、収監されたのはわずか68件のみです。

また、海兵隊では性犯罪での告訴270件のうち53件(約19.6%)で容疑者が収監されましたが、海軍の兵士は203件のうちわずか15件(約7.4%)にとどまるなど、処罰の度合いにもばらつきがあることが明らかになりました。空軍は告訴を受けた124件のうち、禁錮刑を受けたのは17件、21件は文書による処分で済まされています。また、重大な性犯罪容疑620件以上のうち、少なくとも323件では被害者も軍に所属していることが明らかとなりました。被害者が民間人だったのは94件で、残る約200件は不明です。いずれも国籍の内訳は明示されておらず、日本人の割合は不明です。
 
 在日米軍のアンジェレラ司令官は11日、「不適切な行動に対するあらゆる申し立てを真剣に受け止め、法に基づく責任を犯罪者に負わせている」と釈明しました。米軍では性犯罪が深刻化しており、オバマ米大統領やヘーゲル国防長官が13年5月の士官学校卒業式で撲滅を訴えたほか、国防総省は13年8月、被害者への支援と事実関係の調査の強化を柱とする対応策を発表しています。

被害者が、訴えを取り消したり取調べを辞退する等して、自ら加害者に対する捜査や懲罰を断念せざるを得ない状況に追い込まれていることも明らかになりました。2006年には13名が、2012年には28名が訴えの取り消しや取調べを辞退しました。在日米軍が関係した性犯罪は1000件以上報告されていますが、AP通信が告訴を確認できたのは597件と6割程度に留まっています。

性暴力の根絶には、加害者の不処罰を終わらせることが不可欠です。しかし在日米軍による性暴力は、日米地位協定や、日米密約による裁判権放棄の影響がうたがわれる日本の司法当局の不訴追により、多くの加害者が、訴追も処罰も免れてきました。今回のAPによる調査は、米軍の中でも特に在日米軍における性暴力の不処罰が深刻な状態にあることをあらためて明らかにしています。米軍および日本の司法当局は、この現状について説明ある責任を行い、不処罰の終焉に向けた具体的な行動を示すべきです。

【報道】
毎日:在日米軍:性犯罪に甘い処分 有罪の3分の2、収監せず(2/11)
AP:AP findings on US military sex crimes in Japan(2/9)

【関連】
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