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介護分野へ拡大 外国人技能実習制度

2015/02/02

1月26日、厚生労働省は、深刻な労働人口不足が見込まれる介護分野に対し、外国人技能実習制度の対象職種を拡大する方針を決定した。また、大学や専門学校等で介護福祉士資格を取得した留学生を対象に、新たな在留資格を設け介護現場で働くことを認める。政府は2015年度にも制度拡大を始める予定である。

介護の現場では深刻な人手不足が続き、2025年までには全国でおよそ30万人の介護職員が不足すると推計されている。

外国人技能実習制度は、新興国への技術移転を目的に1993年から実施されている制度だが、賃金の不払いや長時間労働、規定外労働の強制や雇用主によるパスポートや預金通帳の強制管理などの違法行為が後を絶たない。外国人労働者の深刻な人権侵害の実態と、制度が実際には人手不足に悩む国内産業の労働力供給のために用いられていることが明らかになっている。

こうした実態への対応として、今回、厚生労働省は実習生の受け入れ先は設立から3年以上の施設に限るほか、一対一の業務となる訪問介護サービスの除外、実習生の指導は原則的に介護福祉士が担うなどとしている。また、実習生については日本語能力試験の「N3」(日常的な日本語をある程度理解できる)を取得していることなど、受け入れにあたり一定の条件を設けた。

制度拡大について、低賃金や過重労働が絶えない制度の実態に、介護現場からは「人手がない施設に実習生を養成する余裕があるとは思えず、人材が必要ならば介護分野での育成にふさわしい制度を考えるべきだ」「『安い労働力』を求めるやり方は必ず失敗する」など懸念の声が上がっている。

【報道】
●毎日新聞(1/27)介護分野に外国人実習生:「安い労働力求めるなら失敗に」

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