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フランス:黒人フェミニスト運動―複合差別の対象の視点から

2015/07/22

 2014年にフランスで結成された「MWASI」(ムワシ-リンガラ語で「女性」を意味する)という黒人フェミニストたちの共同体がある。白人女性が中心となっているフェミニズム運動の中では、しばしば黒人女性たちは周縁化され、特に学術的な世界では彼女たちの声は長い間無視されてきた。「黒人女性として、(女性差別と人種差別に)順位を付けてどちらか一方を優先することはできない」とメンバーのファニア・ノエル(Fania Noel)さんは語る。そのような背景から、複合的な差別の対象である黒人女性たちの声を取り上げるためにMWASIが結成された。

 「私たちはフェミニストであり、反レイシストであり、反植民地主義者であり、すべての改革的な正義に関する問題が私たちの関心ごとです」とノエルさんが語っているように、MWASIは人種差別や性差別、格差を生み出す資本主義などに対して横断的な反対運動を行っている。

 活動は多岐に渡り、路上でのデモ、移民キャンプでの食料や個人用の衛生道具の配布、ワークショップの開催などがある。国連が取り組むInternational Decade for People of African Descent(「アフリカ系の人々のための国際の10年」)の発足に伴い、MWASIは過去の植民地主義や奴隷制度、特に女性に対する性暴力の問題についても言及するように求めている。

 メディアなどではしばしばMWASIは流行のアイコンとして美化され伝えられることがある。運動の政治的・反体制的な側面を無視し、彼女たちを観察の対象として消費するような行為だ。これまでも、メディアによって女性たち主体の運動が報じられるとき、しばしば彼女らの容姿ばかりが取り上げられ、政治的な主張は無視されることはたびたび起こってきた。このように女性たちは家父長制的社会によって声をかき消され消費されてきた。

 共同体にとって一番の試練は、権力に取り込まれず、声を上げ続けることだとノエルさんは言う。同化政策を強いる家父長制的白人中心の運動に飲み込まれることなく、黒人女性として声を上げ抵抗していくことは容易ではない。しかし、当事者たちにとって、フランスでもあまりない横断的な運動を行うMWASIの存在意義はかなり高い。人種差別反対運動では女性として性役割を負わされ、フェミニズム運動では黒人として周縁化されてきた彼女らにとって、MWASIは自己解放のために必要な居場所だ。

 メンバーのシャロン・オマンコイ(Sharone Omankoy)さんはMWASIの目的を「自分たちによって、自分たちのために、自分たちの人生を完全に解放すること」と話す。彼女はさらにこう続ける、「私たちを解放しようとしないで下さい、自分たちでできますから」。

【参考】
●AWID “Afro-feminism in France: The Struggle for Self-Emancipation” 2015/7/15
●MWASIホームページ(フランス語)

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