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消えていく歴史 「慰安婦」制度

2015/08/04

 2015年7月29日、衆議院第一議員会館にて「オール連帯」が主催する「嘘の政府見解(2007年閣議決定)の撤回!資料隠蔽に抗議し、全面公開と真の事実認定を!!」が開催された。オール連帯とは「『慰安婦』問題解決オール連帯ネットワーク」のことで、政府による「慰安婦」制度に関する事実歪曲を問題視し、日本社会に正しい認識を広めるために活動を行っている。

 今回の集会では、2007年に安倍内閣で閣議決定された「慰安婦」制度の「強制連行」を否定する答弁書の撤廃を求めるための議論が行われた。全体を通して、様々な資料によってこの答弁の内容が嘘であることが証明されていること、政府が「慰安婦」制度の「強制性」を示す証拠資料を隠蔽していることに重点が置かれた。

 開会の挨拶で大森典子さん(吉見裁判弁護団長)は、安倍総理をはじめとする様々な政治家たちがこの嘘の答弁の内容を利用してきたことを、今まで見逃してきてしまったことに対する「悔恨の思い」からこの集会を開くと述べた。

 閣議決定された答弁の内容とは、「1993年8月の『河野談話』発表までに政府が発見した資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を示すような記述は見当たらなかった」というものだが、政府は93年以降に発見された強制連行を示す529点もの公文資料・その他多数の民間の研究資料を完全に無視している。また、93年の時点で強制連行を示す公文書もいくつか見つかっていることが明らかになっているが、それらは隠されたままである。このため、『日本軍「慰安婦」関係資料21選』編集委員の小林久公さんは、政府が「強制連行を示す文書」が多数存在していることを知っているにも関わらず、損害賠償請求を免れるためにそれらの文書を隠し続けていることを指摘した。

 また、日本政府は国際社会に対しても「慰安婦」問題に関して国内でしか通用しないような議論を発信し続けている。そのような状況のため、大森さんは日本が国際社会から孤立していることに危機を感じると述べた。さらに「そのような政府を支持する日本の市民たちの感覚も問われている」と続ける。

 今回の集会には日本共産党の池内さおり議員や赤嶺政賢議員、社民党の福島みずほ議員も駆けつけた。池内議員は「『慰安婦』に関する記述が教科書に記載されていた頃に中学時代を過ごした。しかし、現在の中高生は『慰安婦』という文字を教科書で目にすることがない。社会全体がこの問題に関してどんどん無関心になっていくことに危機を感じる」と述べた。また、福島議員からは安倍内閣は「教育とメディアをコントロールする『洗脳内閣』だ」との鋭い指摘があった。

 「強制連行はないから彼女たちは商売で行った売春婦である。政府に責任はない」などの発言は、様々な証拠資料によって間違っていることが明らかになっており、同じことを繰り返し発言したところでますます日本の信用を失う一方だ。今、日本の市民の人権意識が世界から問われている。強制連行があったかなかったに関わらず、過去に女性の人権を踏みにじる性奴隷制度が国によって作られていたことを私たちは事実として直視しなければならない。

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