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【書籍紹介】「ベーシックインカムとジェンダー―生きづらさからの解放に向けて」

2012/03/22
ベーシックインカムとジェンダー―生きづらさからの解放に向けて ベーシックインカムとジェンダー―生きづらさからの解放に向けて
(2011/11/07)
堅田 香緒里、野村 史子 他

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 これはベーシックインカム(BI)の解説本ではない。性別役割分業・家父長制度が未だ根強い日本の社会にあって、それ故に生き辛さを覚える「女性」たちの問題が、BIをテコとして本人自身によって語られる本だ。シングルマザー、社会活動家、高学歴ワーキングプア、ケアワーカー、セクシュアルマイノリティら、これまで「貧困」の一文字によってひとくくりされてきた人たちの生き方や考え方が、ときに細部に至るまで著され、多様性を十分に示している。確かに家族形態等を問わない所得保障であるBIが制度として確立されれば、より生き易くなるのかもしれない。だが、BIは「青い鳥」ではないことの自覚も編著者にはある。「各執筆者のスタンスが一枚岩ではない」ため「安易なBI推進本」ではないとの姿勢は、座談会でBIの存在自体を疑問視する声が出ている点でも明らかだ。最後にBIを支持する維新の会の姿勢とは似て非なることも伝えておく。(渡辺照子)
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