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【北京報告】⑧二枚舌の日本政府に行動綱領の遵守を求める

2005/03/08

北京+10報告

3月7日
二枚舌の日本政府に行動綱領の遵守を求める

週末は会議も休みなので、本会議以外に出たワークショップなどの
感想をゆっくり書こうかと思っていたのだけど、やっぱり無理だっ
た。ひとつには土曜日にメトロポリタン美術館とレストランでゆっく
りしすぎたため、もうひとつの理由は、わざわざこの会議が開かれて
いる時を選んでジェンダー平等教育・性教育攻撃をした山谷えり子議
員と小泉首相のせいだ。

先週のレポートにも書いたように、西銘政務官はスピーチではまっ
たく北京行動綱領に触れなかったが、「国連に提出した原稿の方には
ちゃんと「さらに実行していく」という言葉が入っているので、北京
行動綱領を実行していくのが日本政府の立場だ」というのが政府代表
団の説明だった。さてその同じ日に、日本政府の最高責任者である首
相がそれを正面から否定する発言をしていたというわけ。これでフェ
ミニストとして何もしないんだったら、NYにただ観光にきたのと同じ
ことだ。すぐに日本政府とNYの政府代表部に抗議の手紙を出そうと決
める。リプロは私の守備範囲じゃないが、時差のことを考えるとこち
らで文案を作るしかないし……。そういえばリプロ関係にくわしいHさ
んがこちらに来ていた。その場で携帯で連絡をとり、パソコンをもっ
てホテルの部屋へおしかける。1時間半で草案を書き上げ、その足で
AWID(www.awid.org)とのインタビューへ。AWIDは、私がもっとも注
目している国際的フェミニスト・フォーラムのひとつだ。日本の憲法
24条問題に関心をもってくれて、サイトにも掲載してもらえそう。よ
かった!

次の予定は、EUにおける女性の活動に対する資金の流れについて調
査を行ったヨーロッパのNGOとのミーティング。かれらの調査を参考
に、日本でも同じ分析枠組みをつかって調査ができるかもと思ってい
る。そのためにくわしい話を聞く予定だったのだが、ホームパーティ
の場ではちょっと難しかったかも。そこからヴィレッジで開かれた
AWIDのパーティに流れ込んで、週末は終わり。

月曜日、本会議が再開。しかし今日はゆっくり会議の内容をフォロ
ーする時間はぜんぜんなかった。NGOは国連会議に介入するための情報
交換と戦略のためにいくつものコーカスをつくって、期間中、ほぼ毎
日ミーティングを行っている。このなかには、日本も含まれるアジア
太平洋コーカスなどの地域コーカスと、テーマ別のコーカスとがある
が、私は今回、平和コーカスに参加してNGO声明文の作成に関わること
になった。ディスカッションを通して草案をつくり、さらに修正をく
わえ、プリントアウト、コピーして国連事務局へ渡す。自分のオフィ
スがないところでは、けっこうめんどうな作業だ。

そうこうしているうちに、今週から始まった日本NGOのミーティング
が始まる。政府が説明を行うブリーフィングではないということを念
押しされたが、せっかくNGOの情報交換の場ができたのだから有効に使
っていこう。今週討議される予定の決議文としては、アメリカが提案
している女性と経済に関するものと、人身売買に関するものの2本、そ
れにジェンダー主流化に関するものの3本がすでに各国政府にまわって
いるが、そのほかにも津波、武力紛争、先住民、パレスチナ、平和な
どに関する決議案が提出されるとの情報もある。日本のNGOとしてでき
ることは、とくに問題の大きいアメリカ提出案2本について、全体の
NGOコーカスの戦略と歩調を合わせて日本政府にNGOの意見を伝える
ことだ。まずは情報収集の必要あり。

ここで、山谷・小泉発言に関連して、NGOとして政府に要請書を出す
ことを提案、承認。有志で文案を練り直す。それが終わったらふたた
び平和コーカスでNGO宣言文の最終確認。そしてリンケージコーカス
へ。6時半にようやく一連のミーティングが終わったところで、お昼を
食べ損ねたことに気がついた。

そのあとに出た夜のワークショップも面白い内容だったが、明日は
朝から「軍事化におけるジェンダー視点」のパネルで話さなくてはな
らないので、もう寝なくては。今回はあまり会議レポーターの役割を
果たしていないが、日本政府に対する要請レター作成にがんばったと
いうことで、お許しいただきたい。

要請文へのご賛同は、ajwrc@ajwrc.orgまで。
要請文の詳細は「NYより-北京+10報告-」の⑦を参照。

本山

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