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2005/11/1~11/6 韓国・スタディツアー報告

2005/11/05

会員のみなさま

11月1日から始まった韓国スタディツアーから今日戻りました。
不十分ですが個人的な感想です。
参加者のみなさんからの報告は来年初めに発行される機関誌に掲載予定です。

今日、キンポ空港で機内に入る前に無料サービスの新聞配布の山に一般紙に混じって「女性ニュース」を配布している韓国にすごーいと思いつつ、新聞を開くとその中に今回のツアーに参加された運営委員の中原道子さんの顔写真が!
出発2日前に韓国と日本のフェミニストたちによる「ジェンダーの視点からみる日韓近現代史」が出版され、韓国でも11月1日に記者会見をしたばかり。「女性ニュース」はハングルでまったく私には判読できませんが、中原さんの写真と一緒に韓国で発刊されたばかりの「ジェンダーの視点からみる日韓近現代史」の写真が掲載されていたのでおそらくそのことが取り上げられたのかもしれません。今回はアジア女性資料センターの会員で、「女性・戦争・人権」学会所属、早稲田大学博士課程の学生のホンユンシンさんがコーディネートをしてくださり、水曜デモでの配布資料準備、プレスリリースの発行などをしてくださいました。そのおかげかもしれません。新聞の記事の内容がわかったらみなさんにお知らせしますね。

11月1日火曜日:午後の便で韓国へ!
関空から2名、仙台から1名、ソウル在住の1名の現地参加者と羽田発組がホテルで合流。

11月2日水曜日:
●韓国挺身隊問題対策協議会
韓国で「慰安婦」問題に取り組むみなさんご存知の団体。初代代表のユン・ジョンオクさんも急遽かけつけてくださいました。とても精神の強さを感じさせるオーラを感じ、パワーをもらえるひとときでした。WAM女たちの戦争と平和資料館事務局スタッフの鈴木さわ子さんも参加者の一人で資料館の話しも出ました。挺対協が計画している資料館は、西大門刑務所がある独立公演の一角を提供してもらえるようにソウル市と交渉中だそうです。とっても規模の大きな資料館の話しでしたが、小さくても日本に「慰安婦」にされた女性たちの記憶ととどめ、加害の歴史を残すWAMがあることの重要さを感じました。
●水曜デモ参加
挺対協のみなさんとともに水曜デモに参加。ちょうど「ハンセン病裁
判」の不当判決が出てすぐで原告や支援者の方々の参加や、「在外韓国人国際会議」がありその参加者たちがデモに参加しとても大きなものになりました。私たちは中原さんがアピールしました。ホンユンシンさんがハングルで準備してくれた資料100部は配布してなくなってしまいました。アピールした内容は3つあり、NHK問題、ジェンダーの視点からみる日韓近現代史発行、WAM資料館設立のことです。参加者の一人がデザインして作ってくれたスローガンをアイロンプリントしたおそろいのTシャツを着て参加しました。スローガンは「謝罪と賠償・・・今じゃないなら、いつ?」という言葉をハングル、英語、日本語で書いたものです。
その後ハルモニたちと昼食へ・・・
●ナヌムの家
ハルモニたちより先についた私たちは日本人スタッフの矢嶋さんのガイドで日本軍「慰安婦」歴史館を見せてもらう。この時期の韓国は紅葉がきれいで、ソウルの街中から郊外に移った「ナヌムの家」のまわりも山に囲まれとってもいいすがすがしい空気でした。矢嶋さんは今月20日ごろにハルモニの一人と来日予定だそうです。ハルモニたちが戻ってきたら少しだけお会いすることに。すでに夕飯の時間になっていたので長居せずに帰ってきました。
●「日帝強占下強制動員被害真相糾明委員会」スタッフのユン・ミョンスクさんと夕食
ユンさんがどのように「慰安婦」問題に取り組み始めたか個人史と、「委員会」の活動のことなどを聞きました。「慰安婦」であることを最初に名乗り出たキム・ハクスンインタビューに立ち会うことになり民族・階級・ジェンダーの問題に直面し、「女性である私は何ものなのか?」という自分に対する問題を突きつけられたことや、「慰安婦」にさせられた女性たちはみな自立していて自我が強く、今の時代なら活躍しているであろう彼女たちの、「名もない女性たちの人生を知りたい」という気持ちから「慰安婦」問題に興味を持ち始めたと、お話しくださいました。今回のツアーで訪問した団体の女性たちは個人史を交えてお話しをしてくださる方が多く、参加者一同自分の経験を振り返りつつ、いろんな経験や感情を共有できる時間でした。「委員会」の活動も日本でもっともっと私たちが取り組まなければならない課題であることが明確になりました。

11月3日木曜日:
「女性・戦争・人権」学会の大越さん、井桁さんが参加されました!
●駐韓米軍犯罪根絶運動本部
2000年の「女性国際戦犯法廷」の間に行われた「現代の紛争下における女性に対する暴力国際公聴会」で韓国からレポートのあった「ユングミさん」殺人事件を契機に米軍犯罪被害の被害者支援をするために1992年設立。米軍基地問題に取り組む運動がそれまで男性が中心の民族運動になりがちだった運動だったのが、この運動本部は人権の視点から「安全保障は武力では実現できない。」という明確な思想で被害者によりそった活動をしています。梅香里の射爆場が閉鎖されるなどいいニュースもある反面、ピョンテック基地の拡張がすでに予定されていて、ピョンテックに住む高齢化が進む住民たちが毎日ロウソクを手にして集う「ろうそくデモ」が開かれていることが紹介されました。このピョンテック基地の原型は日本植民地時代の軍事基地です。韓国の基地問題は私たちの戦争責任問題とつながっているのです。
2005年12月11日に平和大行進を予定していて、連帯メッセージを寄せてもらえるように呼びかけています。
素敵な日本人スタッフの宮内秋緒さんにお世話になりました。
●戦争記念館
とーっても大きな戦争賛美の記念館。私たちが訪れた日はちょうど「あぁ、お母さん」展が開かれていました。「銃後を守る女性たち」から戦争に参加するようになった「初の空軍士官女性」たちの歴史まで、描かれていました。広場には戦車やミサイルが並び、そこにバスを連なれてやってくる「社会見学」の子どもたちがよじ登って遊んでいたりして、このように軍事化が一般生活の中に入り込んでくるんだ・・・と感じました。一見する価値ありです。
●トゥレバン
ソウルから車で1時間半ほど北にある議政府(ウィジョンブ)にある基地村の性産業で働く女性たちを支援する団体。1986年から、軍事化と女性の暴力の問題の中で性売買をせざるを得なかった女性たちを支援しています。
とにかく女性たちのエンパワメントに主点をおき、女性たちが自分の力に気づき、自分の力で性産業以外の仕事を見つけられるようにサポートしています。女性たちにはそもそも力が備わっているのだから、介入は最小限にとどめるという方針で、とにかく時間をかけて女性のサポートをしています。現在は女性たちの90%以上がフィリピン人女性だそうです。
11月26日土曜日に早稲田奉仕園50人ホールでフェミニスト映画祭「FAV連連影展」が開催されます。午後7時からトゥレバンが制作した「わたしとフクロウ」というドキュメンタリーが上映されます。是非お越しください。
ツアー参加者の清水さつきさんがこのドキュメンタリーの日本語字幕を制作中で、この日はこのフィルムを作った監督にも会えました。監督から映画祭へのメッセージももらってきました。映画祭でご覧いただけます。

11月4日金曜日
この日は韓国の大学で講師を始めたみなさんご存知のキムプジャさんが友人2人と飛び入り参加。とてもにぎやかで楽しい1日になりました。
●梅香里
日本の植民地時代が終わったとたん、米軍により射爆訓練場として過去1951年から使われ続けてきた梅香里は住民の闘争が映画「梅香里」にもなり日本ではとても有名です。この闘争の結果、今年射爆場が閉鎖されることになりました。これは住民闘争の勝利です。今後は汚染調査、土地の回復、そしてそこでの平和公園設立の運動を続けていくそうです。闘争のリーダー、チョンマンギュさんが平和公園のミーティングだったので、主に村長さんと、NGO「環境運動連合」のスタッフから現在までのお話とこれからの計画を聞きました。平和公園は「騒音被害裁判」の勝訴で得た賠償金や政府からの資金援助があるそうです。 2008年には完成予定と書いてあるパンフレットも準備されていました。海辺を歩きましたが、長いときで1週間に70時間も騒音被害に悩まされていたことが不思議なくらい静かな小さな漁村でした。今後、この土壌の汚染調査の進み具合を注目し続けていく必要があります。
私たちツアー参加者の一部は映画「梅香里」を事前に学習会で見ていました。この中にはチョンマンギュさんのお連れ合いチェさんのインタビューが全く出てこないので、彼女のお話も聞けるといいなーと思っていました。チョンさんが昨年はじめたレストランで働くチェさんにも会えて、雑談程度でしたがお話しが聞けたり、交流できることができました。今後のことを聞くと、「自分たちは非常に貧しい生活を送ってきた。射爆場閉鎖のための闘争が落ち着いたので、これからは貧しい家の子どもたちの支援をしたい」とチェさんはおっしゃっていました。
●女性文化理論研究所のコン・ヒージュンさんのお話
コンさんには韓国女性運動史をお話しいただきました。ここで参加者全員が感動したのは、コンさんが運動史を話した後に「個人的なお話になりますが。聞いてください。」と彼女の個人史を語ってくれたことでした。比較的恵まれた家庭で育ったけれど父親の浮気、自分と夫との間のこと、そして自分の人生を生きていくことを決意して離婚。「今は人生で一番生き生きしていて、楽しいです」とお話いただきました。参加者一同、自分のことを振り返りながらお話を聞いた貴重な時間でした。

11月5日土曜日
最終日はヨンセイ大学博士課程の坂本千壽子さんがすばらしい通訳をしてくださいました。
●韓国女性労働社会協議会
韓国の女性運動の中でもとっても活動的な女性労働運動。韓国では企業組合など既成の組合があるところには二つ以上の組合を作ることが禁止されていることもあり、未組織の「非正規雇用」女性たちを中心の女性労働者会が各地に9つあり、その中心的な存在がこの「協議会」です。土曜日で本来ならお休みの日に出てきていただきました。女性の雇用安定、雇用の平等、母性保護が3つの中心目的です。徹底して労働者の声を汲み取り、労働者自らの力を付けて、労働者の組織化、政策への提言、キャンペーン活動を行っています。女性の貧困化は日本の問題でもあります。12月6日火曜日には女性ユニオン東京の伊藤みどりさんをお招きして(伊藤さんはアジア女性資料センターの運営委員でもあります)、日本の女性の貧困化や労働運動についてお話を聞く予定です。こちらも是非ご参加ください!
●韓国消費者市民の会
生命の安全のための消費者の権利のために活動するNGO。食の安全、フェアートレード、持続可能な消費のための活動を行っています。徹底して市場に出回っている商品をチェック。危険性があったり、不正な情報をしていたりするとRecall運動を展開したり、2500人の会員向けニュースレターで情報を発信しています。日本でもGMOの問題や狂牛病の牛肉の問題などあります。何を買って何をたべているのか、自分の消費行動をちょっと反省しました。
●タシハムケセンター
性売買根絶のために活動している「ハン・ソリ会」がソウル市の依頼を受けて2003年に活動を始めました。日本への人身売買被害者のケースもあるそうです。10月に来日したこともあって日本での経験なども織り交ぜながらお話しをしていただきました。どうしてソウル市がそこまで積極的なのか・・・という質問に対しては、「ソウル市は性売買がされている地域を”浄化”して再開発したいと考えた。だからといって女性を追い出すわけにはいかず、女性たちが自ら性産業から離れていることを促せるようにハンソリに相談した」という実情を聞きました。東京都の歌舞伎町はただ性産業から追い出しただけでそこで働く女性たちの将来のことは全く無関心だったけど、ソウル市は「都市再開発」のためとは言え、女性の将来のことを考えている姿勢はまったく東京都と違うことがクリアになりました。やはり女性省が出来て「女性の人権」の視点は広く浸透していることを感じます。

なかなか聞いたこと、見たこと、感じたことを文字で全部表現するのは難しいですが、スタディツアーで培ったネットワークをこれからも活動に生かせていければと思います。

訪問団体先の方々を始め、コーディネータをしてくださったホン・ユンシンさん、今回のツアーの協力団体「女性・戦争・人権」学会、そして参加者のみなさんのおかげでツアーを無事に終える事ができました。ありがとうございました。

松本真紀子

資料館