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日本政府に北京行動綱領の遵守を求める要望書

2005/03/10

2005年3月10日

内閣総理大臣 小泉純一郎 様
男女共同参画担当大臣 細田博之 様
文部科学大臣 中山成彬 様

日本政府に北京行動綱領の遵守を求める要望書

 現在ニューヨークで開催中の第49回国連女性の地位委員会において、第4回世
界女性会議で採択された北京宣言及び北京行動綱領を再確認し、ジェンダー平
等を実現するため政府・非政府部門がともにいっそうの努力を行うことを誓う政治
宣言が採択されました。平等の実現を目指して活動している私たち団体・個人は、
日本政府が北京宣言及び行動綱領をゆるぎなく支持し、男女平等、ジェンダー平
等をさらに実行していくと表明されたことを、心強く受けとめています。

 しかしながら、私たちは、3月4日の参議院予算委員会において、山谷えり子議員
のジェンダーフリー教育や性教育に対する批判に対し、男女共同参画社会推進本
部長である小泉首相自らが「性教育に行き過ぎがある」と答弁したことに、たいへ
ん衝撃を受け、困惑しています。北京行動綱領は、女性に対する差別的な扱いを
廃止し、女性のリプロダクティブ・ライツを保障するために、女性と男性の固定的な
役割分担の解消、とくに若い世代の性に関する情報及びサービスへのアクセスの
保障、そのための教育政策及びプログラムの推進を、批准国政府に求めていま
す。内閣府は2004年12月28日に都道府県・指定都市の男女共同参画課に「「ジ
エンダー」に関する国会における質疑について」という文書を出し、ジエンダーに敏
感な視点を定着させることを次期基本計画でもしっかりと位置づけること、自治体
でもジエンダーに敏感な視点をふまえた施策を策定するよう国としても連携強化す
ること、と言っています。

 日本では、とりわけ若い世代の性教育に深刻な遅れがあり、少女に対する暴力
やHIV/AIDSを含む性感染症が増加しつづけています。こうした現状を改善するた
めには、早期からの、発達段階に則した適切な性教育が必須です。小泉首相の発
言は、こうしたジェンダー平等教育・性教育の現状に対する認識不足を露呈するも
のであり、行動綱領を確実に実現していくという政府の決意表明を自ら否定し、日
本政府の信頼を深く傷つけるものです。私たちは、政府代表が第49回女性の地位
委員会において表明されたように、女性差別の解消とジェンダー平等社会の実現
に向けて早急にとりくみ、その不可欠な一部として、学校教育におけるジェンダー
平等教育及び性教育のいっそうの充実に向けて取組まれますよう要請いたしま
す。

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