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男女共同参画条例策定に関する荒川区長宛て要望書

2004/06/09

荒川区長 藤澤志光 様

要望書

差別を解消し、男女平等を目指す男女共同参画条例策定を要望します

私たちは、男女平等実現を求めて、長年活動を続けてきたグループです。各地で進む男女共同(平等)参画条例作りは、あらゆる差別をなくしていきたいと願う女性たちの声が、ゆっくりではあっても確実に生かされ形になってきた事の現われであって欲しいと考えて注目しています。
しかし、今回の荒川区男女共同参画社会懇談会の終了と共に発表された報告書に、私たちは大きな危惧を抱きました。また懇談会委員であった方々のうち7名が懇談会の進行及び発表手続き、結果報告などに異論を持っていらっしゃるとの新聞報道も読みました。
荒川区はこの報告に基いて条例策定に望まれると伺い、ここに以下のことを要望いたします。

1.乱用防止規定の削除
報告書は、男女共同参画の逸脱や行き過ぎを防止するために「男女の区別と差別を誤認して批判しない」「性差否定の教育を行わない」「性別役割分担を否定しない」「男女別数値目標は慎重に」「知識偏重の性教育に偏らない」と乱用に歯止めを掛けるとしています。
女性たちの差別解消への要求は、この社会が男女の区別の名の元に、教育、労働、政治など、多方面で差別を容認してきたという事実を認め、性差別を前提として組み立てられている部分を変革していくことが重要だという共通認識をつくりだす所までやっときました。それが「男女共同参画社会基本法」「東京都男女平等参画条例」の理念「男女という性別にこだわらず、その人自身の個性を発揮できるような社会を実現する」として法による規定となっています。そして、現実に差別があるという認識に基づいて作られてきた数々の法律「男女雇用機会均等法」「配偶者暴力防止法」「子ども買春・子どもポルノ禁止法」等が生まれるに至っているのです。今回の乱用防止規定は、この理念に抵触し逆行するので、削除を求めます。

2.あるべき家庭像の押し付けは止めること
私たちは、機関誌「女たちの21世紀」37号(2004年1月)で「家族が変わるのは恐いですか」という特集を組みました。それは、現実の日本社会の「家族」を直視し、認め、すべての人々にとって生きやすい社会を考えることの必要を明らかにしたいと考えたからです。「配偶者暴力防止法」成立と今国会での改正は、「安全」を保障する場であって欲しい家庭が、決してそうなってはいない場合があるという事実に基き、人権を保障するために社会が成すべき事を定めています。また子どもや高齢者への虐待の事実など、家族、家庭が真に安全を保障する場であるためには前提として解決されるべき課題が、いかに多数放置されてきたかを示しており、施策の停滞は許されません。しかるにそのような前提に言及することなく、あるべき家庭像に問題解決を期待することは、再び問題を「民事不介入」という名の元に家族の中に封じ込める方向につながる恐れが強くあります。現実を直視し、遅滞なく施策が進められるための条例作りにつながるよう、報告書の見直しを求めます。

3.民主的手続きとは多数の力で暴力的に物事を進めることではない
今回の懇談会報告は、随時公表されるとうたわれていましたが、必ずしも懇談会での意見が正確に反映されたものではなかったと聞いています。特に最終報告書に関しては、複数の委員の方々が、全く懇談会では確認もされなかった内容が勝手に盛り込まれていると抗議されています。
このような経過で作られた報告書の内容を尊重して条例が制定されるとするならば、せっかく懇談会を設置し、広く意見を集め、議論し、よりよいものを作ろうとされる理念に合致しません。改めてその意義を確認し、日本国憲法、男女共同参画社会基本法、東京都男女平等参画条例等に整合する条例策定を進められることを要求します。

2004年6月9日

東京都渋谷区桜丘町14-10-211
アジア女性資料センター

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